被災者は行政と
どのように関わろうとするのか?

Data.19:災害時の“市民意識”はどのように変化するのか?」で見た通り、災害で日常が損なわれることによって、被災者は“ボランティア"や“共助"の重要性を認識せざるを得ない状況下に置かれます。つまり、これまで行政の仕事だと思われてきた“公共的な事柄"について、「市民がもっと積極的に関わっていくべきである」という考え方が増加していくことになります。
 
こうした“市民と行政のかかわり方"には、3つのタイプの価値観に分類されるといわれています。政治思想の考え方によると、個人的な自由を尊重し、政府はいらないとする【リバタリアニズム(=自由至上主義)】の考え方。共同体の価値を重んじ、自分たちで地域を統治しようとする【コミュニタリアニズム(=共同体主義)】。そして、行政に全てを委ねようとする【パターナリズム(=後見主義)】と呼ばれているものです。こうした分類をベースに、阪神・淡路大震災の被災者たちに「まちづくり」についての意識を質問したところ、上記3つのタイプの傾向が顕著に表れました。
 
平常時と変わらず、「命を守るのは行政の仕事」と考える行政依存度の高い【後見主義】の被災者はいるものの、「命を守るのは皆の助け合い」「地域活動はそこに住む人々の基本的な義務」というような【共同体主義】的な考えを持つ被災者が増加していたのが特徴です。しかし、それも時間の経過と共にもとの状態へと移行していきます。世代別に見ると、特に40代以上の場合は【共同体主義】の人が減少し、「悪いまちなら出ていく」「命を守るのはそれぞれの努力」だと考える【自由至上主義】の価値観が徐々に増加していく傾向が見られます。
 
このように【共同体主義】を軸にして、それぞれの価値観を持つ被災者の増減を見ることも、“復興の度合い”を測るひとつの目安となりうるのです。

POINT

  • 市民と行政のかかわり方の価値観には、
    【自由至上主義】【共同体主義】【後見主義】の3タイプが存在する
  • 地域の助け合いを重んじる【共同体主義】は、時間の経過と共に減少し、
    復興の完了を示唆する

Data.20

[市民と行政とのかかわり方の価値観]
[行政とのかかわり方におけるタイプ別の割合(年代別)]

行政とのかかわりのデータ一覧

  • Data.20 被災者は行政とどのように関わろうとするのか?

>他のカテゴリを見る